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触れない美学。

それは舞姫が、まだ小学校低学年くらいの頃のあるの日のこと。授業中はかなり強く降っていた雨も下校時には無事にあがって、雲の隙間から陽も射してきました。クラスメイト達数名と一緒に学校を出て、途中で友達とも別れ、ひとりになった舞姫がふと空を見上げると、ひときわ大きく浮かび上がる美しい“虹”が視界に映りました。

それは、手を差し伸べれば届きそうなくらい、近くにあるように舞姫には感じられました。「もしかすると、あの虹に触れることができるかもしれない!」そんなふうに思った舞姫は、その大きな虹のある方角に向かって歩き始めました。このまま、あの虹に向かって進んでいけば、本当にあの虹の架け橋の袂まで辿り着けるような気がしたのです。

ところが、歩けども歩けども、そのと舞姫との間の距離は一向に縮まりません。そのうち周囲の風景も、見慣れた近所の街並みからは次第に離れ、見たことのない建物の立ち並ぶエリアへと入っていきました。ふと気付くと既に夕暮れも近く、さっきまであんなに鮮やかだった虹も、次第に薄らいできていました。

いかん、これ以上自分のテリトリーから離れて遠くへ行くと、家へ帰れなくなってしまう…そう思い、だんだん身の危険を感じてきた舞姫は「お母さんが心配する。はやく家へ帰ろう」と、後ろ髪を引かれるような気持ちで虹に背を向け、家へ向かって駆け出しました。

帰宅した舞姫は「ただいま」も、そこそこに、玄関で乱暴に靴を脱ぎ捨てると、急いで部屋の窓を開け「お母さん、虹が見えるよ!すごいきれいだよ!」…ところが、舞姫の声で母が窓のそばまで来たときには、空には既に虹の姿はなく…。

まぁ、虹ですから日没と共に消えてしまって当たり前のことなのですが、当時の舞姫にしてみれば、本来なら触れてはいけないものだった筈のものに、禁を犯して自分が触れようとしてしまったが故に、消えてなくなってしまったような気がしてならず、あの美しい虹に触れてみたいと思ったばっかりに、虹の袂まで辿り着こうとした自分の行為を、幼心に少々後悔した次第ではありました。

たとえば、美術館に行ったとしましょう。そこに、花器でも食器でも何でもいいのですが、とても美しく魅力的な展示物が飾られていたとしましょう。ぜひ、もっと近くで見てみたい。そして、この手で触れてみたい…そう思って当たり前ですよね。ただ、美しく魅力的な展示物の前には、たいてい「ぜったいに、お手を触れないでください!」なんて注意書きが掲げてあったりします。

けど、そういう注意書きを読んでしまうと、よけい「どうしても触れてみたい!」という衝動に駆られてしまうものです。そして意を決するように、ついに禁を犯して、その美しい展示物に触れようと、この手を差し伸べた瞬間…その美しい器に亀裂が走り、弾けるように儚くも砕け散ってしまったとしたら…。後に残ったのは、床に散らばる、その器の無残な破片だけ…。

どんなに美しく魅力的な器も、いちど壊れて砕け散ってしまったら、所詮ただのゴミですよ。価値なんて、ありません。自分にとって、類い稀に美しく魅力的なものは、この手で触れてみたいだなんて望みを抱いたりはせず、ある程度距離を置いて眺めることで、その魅力を満喫するのが、いちばん良い方法なのかもしれません。幼い頃見た“虹”も、そして美術館の展示物の例えも…“触れない美学”も、存在するのです。



GW恒例の小樽散策へ。♪

あっちゅー間にGW最終日を迎えましたが、みなさん如何お過ごしでしょうか?おととい4日(みどりの日)、舞姫は母と一緒に小樽まで遊びに出掛けました。

一昨年&昨年に引き続き3年連続となって、半ばGWの恒例行事と化しつつある舞姫母娘の小樽散策ですが、今年もおおいに楽しんで参りました。道中の模様は、その日の夜のうちに諸々の写真と一緒に“Twitter”にも掲載済みだったので、既にご覧くださったフォロワーさん達も多いかとは思いますが、一応この日記にも報告をあげておこうと思います。♪

まずJRに乗って小樽駅まで辿り着くと、バスに乗り換えて旧青山別邸「小樽貴賓館」へと向かいました。ここは、別名“にしん御殿”(←Wikipediaより)といって、かつて北海道でニシン漁が盛んだった時代に建設された住居兼用の漁業施設。

ニシン漁で巨万の富を築いた青山家が、お金を湯水の如く使って建てた贅沢な豪邸ですが、現在では登録有形文化財に指定されています。あいにく内部の殆どは撮影禁止で、1Fホールの天井画と、あとは庭に設置される「石狩挽歌」の碑くらいしか撮影できなかったのですが(汗)、貴重な展示物の数々を母娘で興味深く鑑賞させて頂きました。♪

この小樽貴賓館ですが、唯一の難点はちょっと交通の便が悪いことでして、日祝日に至っては最寄りの停留所には1時間に1本程度しかバスが来なくて、ひとしきり館内を巡り終えた時点で中途半端に時間を持て余してしまいました。ただ、施設の周辺は閑静な住宅街で、近隣にも特に観光スポットらしきものはなく、致し方なく施設1Fのレストランで茶などすすりながら時間をつぶすことに。

ようやくバスに乗って再び小樽駅界隈まで戻ってきた舞姫母娘でしたが、程なくポツポツとが降り始めました。ぢつは、事前にチェックした予報で天候が悪くなるらしきことは知っていたのですが、自宅を出掛ける時点では至って天気は良かったので、天候が崩れないことを祈って雨具を持たずに出掛けた次第でした。さて、困ったゾ…。(´・ω・`)

とりあえず、舞姫はパーカーのフードを被り、母は大きめのハンカチを三角に折って頭を覆って“キャディさん”スタイルになって、雨をしのぐことに。近場のコンビニでビニ傘でも買おうかとも思ったのですが、ビニ傘が嫌いな母は気が進まない模様。

せっかく買うなら、もう少し小洒落た傘を…と思って、たまたま通りがかりの某雑貨店を訪ねて、店員さんに傘はないかと尋ねたところ、有り難いことに を貸してくださいました。店員さん曰く、これは小樽観光協会が実施する“傘の輪プロジェクト”で、突然の雨や雪が降られて困っている観光客に無料で傘を貸出すという取り組み。使い終わったら、市内16ヶ所に点在する協会指定の返却場所に持参すればOKとのこと。なんとも粋な心遣いですね。♪

その後は、遠慮なくお借りした傘をさして堺町通り商店街をブラブラと散策し、三角市場内の某食堂にて美味しい海鮮丼を頂き、楽しい時間を過ごした舞姫母娘でしたが、最後に小樽駅構内にある観光協会指定の返却場所に傘をお返しして、帰宅の途に。

一夜明けて、きのうは自宅から徒歩圏内の日帰り温泉施設へと出掛け(ちなみに、母は公衆浴場の類が苦手だそうなので、舞姫ひとりでふらりと出掛けました)、小樽散策で散々歩き廻って疲れた身体を癒し、帰宅後は小樽土産に買った地酒を開けて母娘で晩酌。更に一夜明けて、GW最終日のきょうは特に外出の予定もなく、自宅でのんべんだらりと過ごしております。♪

GWも終わって、あしたからは普段の日常が戻ってきます。ちょっと憂鬱ではありますが(汗)、あした&あさってを無事に過ごせば週末を迎えるので、がんばって乗り切りたいと思います。そんなわけで、写真は小樽散策で立ち寄った昆布専門店「利尻屋みのや大正クーブ館」に掲げられていた“お父さん預ります”の看板。(^^)



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