最大の敵は、“無理解”。

舞姫の持病である臼蓋形成不全(変形性股関節症)は、周囲の理解を得ることが難しい“見えない障害”です。幸い、舞姫自身は周囲の理解にも恵まれ、これまで不快な思いをした経験は殆どないのですが、同病の患者さん達のなかには、周囲の無理解に苦悩されている人達がたくさんいます。

まず警鐘を鳴らしたいのは、股関節疾患の子供を持つ“ご両親”です。大人の患者さん達でさえ、疾患に対するご家族の“無理解”が症状改善の妨げとなっている例は数多く存在します。行動の自由が制限される“未成年者”であれば尚更、ご両親の理解&協力は必要不可欠。

ただ、哀しいことに、本来であればお子さんの心の支えとなってサポートしなければならない筈のご両親が、疾患に対して“無理解”あるいは“無関心”なため、子供の症状改善の妨げとなってしまう例も決して少なくはないのです。症状を軽視するご両親の間違った認識が、子供の改善を滞らせ、やがて悪化へと導きます。

成長盛んな未成年者の場合、お子さん自身が股関節に異常を訴えられても、ご両親が“成長痛”と勘違いして楽観視し見過ごされてしまうケースも決して少なくはないですし、症状を軽視するご両親から「医者は金儲けが目的で、手術や通院を勧める。股関節が痛いくらい、市販の湿布でも貼って寝ていれば治る」と言われて理解を得られず、医療機関すら訪ねることも許されない子供も存在します。昨今では、“放射線”に関する誤った知識から、レントゲン等の画像検査による影響を過剰に恐れ、ご両親がお子さんの検査や治療を拒否してしまう場合もあると聞きます。

もともと先天性の股関節疾患早期発見が難しく、大人になってある程度の年齢に達してから発覚し、苦心して闘病される患者さん達も数多く存在します。舞姫自身も、発覚は40歳を過ぎてからでした。身体能力にも優れた未成年のうちに病巣を発見できたのなら、成人して以降の発覚だった患者さん達よりも改善できる可能性は遥かに高いのに、ご両親の“無理解”が弊害となって適切な改善策を講じることすらできないなんて、無念でなりません。

成長盛んで身体能力にも優れた未成年のうちに早期発見できたことを、無駄にしてはなりません。情報収集に努め、正しい知識さえ身に付ければ、決して怖い病気ではないので、悲観的になる必要はないですが、かと言ってこの疾患を侮らないでほしい。進行性の難治疾患である事実に変わりはなく、すべての患者さん達が“末期”に至る危険性を孕んでいます。お子さんが股関節に異常を訴えたら、症状を軽視することなく、その声に耳を傾けてほしいと願います。

医療の世界での、ご家族の“無理解”対策の現状は、どうなんだろう?殊に患者が未成年者の場合、症状改善において最も厄介なのは、ご両親の“無理解”です。症状を侮るご両親を説得して間違った認識を修正し、正しい知識や情報などを判りやすく伝え、お子さんがご両親の理解&協力を得られる環境にできるよう、医療機関側で働きかけていくことも必要だと思うし、また学校教育などでも先天性の股関節疾患の危険性を訴えるなど、医療者さん達も積極的な対策を進めてほしい。

信頼できる医療機関と出会い、早期の段階から適切な改善策に取り組めば、順調に回復する可能性も高いですし、健康な子供達と同様に外で元気に遊び回ったり、スポーツなどもできるようになれると思います。医療者さん達も、無理解なご家族の説得に努め、子供達の将来のためにサポートに尽くしてほしいと願います。

無論、この類の“無理解”に苦悩されているのは、未成年者の患者さん達だけではなく、大人の患者さん達にも数多く存在するのが現状です。ご家族からも理解を得られない同病者さん達の辛い経験談を、これまで舞姫は星の数ほどたくさん聞いてきました。この疾患の何たるかを知らない者は、家族ですら患者への理解に欠く。この疾患の改善における最大の敵は、周囲の無理解。患者の最大の理解者であるべきご家族が、患者の“敵”と化してはいけない。

ご家族からも見放され、誰にも相談できずに孤立する患者さん達が散在する現状。周囲の無理解が、適切な改善策を講じることを妨げ、ときとして患者のメンタルすらも著しく蝕んでいきます。“無理解”を生む大きな要因は、疾患自体の社会的な認知度が低く、正しい知識や情報が行き渡っていないことにあります。まずは、この疾患の存在を一般社会に広く知って頂くこと。そして、疾患とは無縁の一般の人達にも、しっかり正しい知識&情報を身に付けて頂くことが重要です。

メディアのあり方にも、疑問を呈したい。無責任な報道により、間違った知識や情報が氾濫すれば、一般の人達の間にまで誤解や無理解が蔓延する大きな要因となり、そのシワ寄せは脅威と化して我々患者に襲い掛かります。メディアの人達は、充分に知識を身に付けたうえで、慎重な取材と適切な情報発信に努めてほしい。

幸い、家族の理解に恵まれた舞姫は、適切なリハビリ環境を構築することができ、現在に至ります。それだけに、ご家族の無理解に苦悩される同病者さん達の話を耳にするたびに、心が痛む思いです。股関節疾患を持つこの世のすべての患者さん達が、ご家族の理解&協力のもとで、適切な改善策に取り組むことができるよう、舞姫も心から祈るばかりです。(-人-)

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