“天火”の思い出。♪

貼付の写真、何だか判りますか?たぶん、お若い世代だと殆どの人達はご存じないのではないかと思いますが、これは“天火”(てんぴ)といって、ガス台の上に乗せて使うオーブンなんです。現在では、電子レンジにオーブンの機能を兼ね備えた“オーブンレンジ”が当たり前の如く普及していますが、舞姫が若かった頃は一般家庭でもオーブンといえばこの天火が主流でした。巷では既にお見受けする機会も少なくなりましたが、アナログ屋敷の舞姫家では、この時代錯誤も甚だしい天火が現役で稼働しています。♪



ちなみに、写真の天火は比較的に近代モノの二代目で、骨董品モノの初代の天火は舞姫の幼い頃には既に我が家にあったと記憶していますが、これはさすがに散々使い尽くしたので既に処分しました。二代目の天火を買ったのは、確か15年くらい前のことだったと思います。現在では、たま〜に母が料理に使う程度で、利用頻度が少ないこともあって、購入から15年を経たいまも保存状態はまずまず良好。思い起こせば、かつて若かりし学生時代お菓子作りにハマった舞姫も、初代の天火が現役で稼働していた当時は、よくケーキやクッキーを焼いたものです。懐かしい…。

横着者で“大儀”を描いた如くの舞姫なので、現在では料理も殆ど母に任せっきりで、自ら台所に立つ機会も少なくなりましたが(汗)、こんな舞姫が“お菓子作り”を好きになるきっかけを作ってくれたのは、洋菓子界の重鎮・今田美奈子さんのレシピ本。学生時代、たまたま書店で見つけて軽い気持ちで買ったのですが、お洒落で美しいお菓子の写真の数々は勿論、洋菓子の歴史や雑学なども多く掲載されていて、“読み物”としても充実した内容の一冊で、舞姫も興味津々に何度も読み返したことを記憶しています。

勿論、調理工程の解説や分解写真なども、じつに判りやすく掲載されていて、「これなら、不器用な私にもできるかも?」と思い立った舞姫は、意を決して手作りのお菓子に挑戦してみることに。ちなみに、初めて作ったのは“カトルカール”(フランス語で“4分の4”という意味。バター&砂糖&卵&小麦粉を同量ずつ使用する)と呼ばれるシンプルなパウンドケーキで、作り方も初心者に適した簡単なものでした。レシピ本を見ながら慎重に作業を進めて、やがて出来上がった生地をパウンド型に詰めて天火へ。

外観は趣のある天火ですが、電子オーブンと違って温度調整手動でしなければならないのが難点。なにせガス台に直接乗せて使うオーブンなので、強火にすればどんどん温度が上昇してしまうし、かといって火を弱めたまま放置すると逆に温度が下がり過ぎてしまいます。丁度良い温度を保つためには、やはりコンスタントにチェックして火加減を調整していく必要があり、焼けるまでの待ち時間に天火の傍を離れて何か別なことを…というわけにもなかなかいかないのですが、なにせ初挑戦のケーキだったので、ガス台の傍で温度調整しながら待つ間も、出来上がりを想像して楽しく過ごしたことを記憶しています。

幸い、焼き上がったパウンドケーキは、初挑戦にしては上出来で、自分で食べても美味しかったことは勿論、家族にも概ね好評でした。これで味を占めた舞姫、このとき以降、週末になると台所を占領してお菓子を手作りするのが、すっかり習慣になりました。回を重ねて要領も憶えてくると、おそらくお菓子作り以外では用途がないであろうコアな道具も、少しずつ買い揃えるうちに増えていきました。無論、楽しい思い出ばかりではないです。調子こいてクッキーを大量に焼き過ぎて処分に困ったこともありますし、難易度の高いお菓子に挑戦した挙句に失敗して、材料すべてお釈迦にしたこともありました。(>_<)

若かりし学生時代の舞姫を魅了したお菓子作りでしたが、やがて離れるときが訪れます。楽しいお菓子作りですが、問題なのは作ったあと。殊に、天火を使う焼き菓子には、バターや砂糖・卵など、ベタベタするものをふんだんに使うため、お菓子作りを終えたあとの台所には、当然ながら汚れた器具が大量に残ります。これをすべて洗ってきれいに片付けるのは物凄い重労働で、もともと横着者で不器用な舞姫なので、ようやく苦心して作ったお菓子が出来上がってクタクタになっているタイミングで、この大量の汚れた器具が散乱する台所を片付けるのが、次第に面倒くさくなってしまったわけです…orz

それに、たとえ趣味レベルのお菓子作りとはいえ、材料費光熱費も意外とかかります。幸い、舞姫が暮す札幌の中心街には、美味しい洋菓子店がたくさんあります。勿論、素人が趣味の範囲で作るお菓子には、プロにはない魅力もあると思います。ただ、高い材料費や光熱費をかけてまで苦心してお菓子を手作りした挙句に、台所に残った多量の汚れモノの片付けに追われてヘロヘロになるくらいだったら、プロが作った美味しい洋菓子を買ったほうが安い。…そんなことを考えていたら、なんだか一気に興が醒めてしまって、社会人になる頃にはお菓子を手作りすることは殆どなくなってしまいました。(^^;)

そんなわけで、お菓子作りから遠ざかって久しい舞姫ですが、いまもこの天火を見るたびに、初代の天火でお菓子作りに興じた学生時代を懐かしく思い出します。現在、我が家で愛用するこの二代目の天火も、ネットで調べてみた限りでは中古品を若干お見受けする程度で、新品は既に出回っていない様子。貴重な天火なので、これからも母娘で大切に使いたいと思います。♪

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